コンサルタント就職

The Bridge to Consultant

各ファームコンサルタントインタビュー

モニターグループ編


前川氏

今回は、モニターグループの前川氏(一橋大商学部卒、入社6年目、写真:右上)と丸上氏(京都大工学部卒、入社2年目、写真:左下)に下記のようなテーマでお話を伺ってきました。

丸上氏

【コンサルタントになった経緯】
【コンサルタントの魅力と醍醐味】
【モニターグループとしての価値、そこで働くことの魅力とは?】
【採用・人事評価について】
【お2人の現在と今後の展望】
【コンサルタントを志望する学生へ】

【コンサルタントになった経緯】

―今日は御社を志望される学生向けに、ざっくばらんにお話を伺いたいと思います。まずはお二人がコンサルタントになられたいきさつをお聞かせ下さい。

前川氏: 私は大学二年生の頃にコンサルタントという職業を知りました。なんだかおもしろそうだな、と思って色々調べておりましたが、調べていくにつれてコンサルティングという仕事に魅力を感じるようになり、志望するに至りました。当時は、入るなら比較的規模の小さいところに入って、様々な業務に関わりたいとも思っていたのでモニターを選びました。

丸上氏: 私はもともと、宇宙開発の勉強をしたくて大学に入ったのですが、実際に入ってみて、自分はエンジニアとしてではなく、むしろ宇宙開発の企画やマネジメントの視点から興味を感じていたことに気づいたんです。その後はむしろ「マネジメント」という切り口で色々将来を考えるようになり、その中で戦略コンサルタントという職業を知り、純粋に「やってみたい」と思ったんです。モニター以外にも大手のファームから内定をもらいましたが、自分が一番成長できる場としてモニターを選びました。

【コンサルタントの魅力と醍醐味】

―就職活動中と実際にコンサルタントになってみて、ご自身が抱かれていたコンサルタント像に違いはありましたか?

前川氏: 就職活動時は、「情報で差をつける」ことがコンサルタントの価値の源泉だと思っていました。コンサルタントは特殊な情報を持っていて、スパイみたいなイメージがあったのです(笑)。しかし実際にコンサルタントになってみると、扱う情報は特別特殊なわけではない、コンサルタントの価値は情報をどう見るか、どう組み合わせるかが重要なのだと感じました。

丸上氏: 組織というものはしがらみが多くてなかなか動かないものだし、そこに変革をもたらすコンサルタントという仕事は、結構泥臭いと聞いていましたので、抱いていたイメージと大きく違うということはありませんでした。ただ、実際その言葉の意味を身をもって感じましたね。

―なるほど。それでは実際になってみて、コンサルタントとして働く意義と価値は何だと思いますか?

前川氏: コンサルタントとして働くことは、だいたいは辛いことが多いですね。たまに嬉しいことがあるから、この仕事を続けていけるという感じです。例えば私が担当したプロジェクトで目に見えてクライアントの業績が上がったときなどは、とても嬉しいですね。

丸上氏: そうですね。辛いことも多いし、たくさん頑張る分、それが報いられた時には心底喜びを感じます。例えば自分がした提案が認められ、それに従ってクライアントが動き出した時なんかは「やって良かった」と思います。

―他にもやっていて良かったと思うことはありますか?

前川氏

前川氏: 様々な業界や業種を見ることができるのは楽しいですし、コンサルタントという仕事をやっていて良かったと思いますね。若いうちからトップの方々と一緒に仕事をさせて頂くのは、普通の企業では体験できないですし。

丸上氏: 普通に一企業の社員として働いていても、企業の大きな変化に関わりを持つチャンスはあまりないと思うんです。しかしコンサルタントとして働いていると、そういった企業の大きな変革に関わり、インパクトを残すチャンスを持てるということが醍醐味だと思います。

―それでは、自分の思考や生活面で、コンサルタントになって変化した点はありますか?

丸上氏: 思考の面で言うと、深く考えることが増えました。例えば、友達のビジネスの話なんかを聞くと、「どうすればより大きな成果を得られるだろう」「自分だったらどうするだろう」と自然に考えたりするようになりましたね。生活の面で言えば、学生の頃は寝る間を惜しんで色々と活動していましたが、今は仕事で最大のパフォーマンスを出せるように、自分の生活をうまくコントロールするように心がけるようになりました。

前川氏: 世の中にあふれている活字に対して疑り深くなりましたね。例えば本を読んでいても、「実際には違うんだろうな」と思うことが増えたと思います。ある企業に対して紙面でなされている評価も、実際にその企業の方などからお話を聞くと中身は違うと感じることがあります。だから、活字やテレビの報道を信じこむことはなくなりました(笑)自分で直接見ていないものを完全に信じることはなくなりましたね。

―分かりました。それではコンサルタントとして苦労した点、あるいは鍛えられた点は何ですか?

前川氏: コンサルタント仕事は自分の一言でお客様の社員の方の人生を左右する可能性があると考えています。それはすなわち自分の一言で、社員の方のキャリアが変わる可能性があるということなんです。例えばテーマが人員削減の場合など、私たちの提案がある特定の社員の方にとっては必ずしも良いことだけではないですから。その辺すごく責任を感じます。

丸上氏: 入社した当初は、企業の仕組みなどは全くわからない状態でした。社内でミーティングをしていても自分だけディスカッションについていけなかったりもしましたね。そういうときは「自分はなんて馬鹿なんだろう」と思うこともよくありました。 加えて、次第にお客様の前で話すようになると、社内だけでなく社外での仕事でも苦労するようになりました。こちらの言いたいことを上手く伝えてクライアントを動かすのは難しいですね。

―なるほど。ではコンサルタントに必要な資質とは何だとお考えですか?

前川氏: 論理的であることが大切だと言われますが、私個人はコミュニケーション能力の重要性が非常に高いと考えています。卓上よりも、お客様と仕事をすることが多いですから。

丸上氏: 考える力、伝える力も必要だと思うのですが、もっと根底にあるマインドであり熱意が重要だと思います。価値を出そうとする熱意は、お客様にも伝わるものですから。やはり人を動かす仕事である以上、熱意は必要だと私は考えています。

【モニターグループとしての価値、そこで働くことの魅力とは?】

―それでは、今度は御社についてお聞きしたいと思いますが、お二人は何故モニターグループを選んだのですか?

前川氏: 最初にも申したとおり、私は規模の小さいところを志望していましたので、内定を頂いた中で当時比較的規模が小さかった当社に決めました。

丸上氏: 就職活動では、コンサルティングファーム各社の違いというものは何となくしかわからなかったんですが、面接を通じて色々な人の話を聞く中で、自分が一番成長できる場だと思ったのでモニターグループを選びました。具体的にはプロジェクトの特徴や進め方、そして「人」に魅力を感じました。

―なるほど。それでは御社のミッションや、クライアントに提供する価値とは何でしょうか?

前川氏: 「人を相手にしているということを意識して、インパクトを伝える」ことではないでしょうか。この間の海外トレーニングでファウンダーがしきりに言っていたのは、「お客様にインパクトを伝える」ということです。これはクライアントにデリバーする価値と関わると思います。我々はやはり「人」を相手にしているので、常にクライアントを「人」として意識してどのようにインパクトを伝えるかを意識しています。インパクトの中身とういのは、考え方を変える、戦略を実行できるようにサポートをするなどですね。

丸上氏: 我々がオフィシャルにミッションとして掲げていることは、「クライアントに長期的な競争力をつけるために効率よくサービスを提供する」ということです。「効率的に」とは、「何でもやりますよ」ということではなく、クライアントにとって必要で、我々も真の価値を提供できるようなところに重点を置いているのです。 あと、面接などでもよく聞かれるのですが、戦略を提案して終わりとか、我々が答えを持っていてそれを提供していると捉えられることがあるようですが、実際は実行支援までするケースも多いですし、クライアントとチームを組んで、一緒に考え、悩むことも多いです。実行されないような提案をしても価値がありませんからね。

―するとお客様の中に入って行って仕事をしている時間は長いのですか?

丸上氏: そうですね。実際に実行できる形で提案するためにも、頻繁にクライアントと直接話し合いながらプロジェクトを進めます。他社のコンサルタントから、例えば中間報告会でクライアントの考えと大きく食い違っていて、ひっくり返ってしまったとか聞くこともあるんですが、それはあまりモニターではないですね。

前川氏: 実行していただくということをすごく意識していますね。

―昔ですと、3〜6ヶ月かけて戦略プロジェクトを立ててプレゼンするという流れですよね。しかし御社のお話をお聞きすると、戦略を立てながら実行するというイメージですが、どうでしょうか?

前川氏: 基本的には、3〜6ヶ月で戦略を立ててから、その後に実行支援をやっていきます。但し戦略立案の段階から、立てられた戦略を実行して頂くということを常に意識してやっています。ですから、経営トップの方から見ると、「一緒にやっている」という感じを持たれるのだと思います。最終のプレゼンテーションも、一緒に仕事をさせて頂いたお客様の社員の方にしていただくことも非常に多いです。

―そのやり方は、テーマによって変わってくるんでしょうか?

前川氏: テーマに関係なく、同じようなスタンスを取っています。当社は営業改革やマーケティングのプロジェクトが多いですが、どのようなテーマでも実行して頂くことを重点に置いています。

―グローバルということは仕事もグローバルと一緒にやるのですか?

前川氏: そうですね。海外が関わらないことはほとんどないですね。

―御社の掲げる「グローバル・ワンファーム」とは何かつながりがあるのでしょうか?

丸上氏: プロジェクトベースで海外で働くこともありますし、一定期間他のオフィスにトランスファーになることもあります。また海外オフィスと一緒にプロジェクトにあたる機会もかなり多いですね。こういう面で見ると、「グローバル・ワンファーム」なのではないかと思います。

―となると、英語は相当使うのですね。

前川氏: 相当使いますね。

丸上氏: 他のファームに比べると明らかに使う機会が多いです。コンサルタントには海外の大学を出ている人間も多いですね。

―では、採用過程で英語能力は見るのですか?

前川氏: はい。他のファームに比べて英語の比重は高いと思います。

丸上氏: ただし、コミュニケーションに支障がでるのは困るにしろ、英語はツールだと思っていますので、最初からビジネスレベルで話せることを求めているわけではありません。

前川氏: まずは英語を「書く」、「聞く」能力が重要ですね。

―分かりました。次にカルチャーについてお聞きしたいと思いますが、御社の雰囲気とはどのようなものですか?

前川氏: 社内の風通しはいいと思いますね。

丸上氏: そうですね。シニアの方とも直接話すことも多いです。あまりシニアだから話しづらいとかいう感じはしないですね。和気あいあいとやっています。 自分の考えやスタンスを明確に持っている人が多い気がしますね。そして仕事に対して真剣に考えています。

前川氏: 他のファームがどうかは存じあげませんが、自分たちの仕事に満足することがないと思います。要するに、「もっとよくできるのではないだろか」ということを、深く考えています。

―なぜそのようなことを考えるのですか?

前川氏: ひとつは我々が業界ではチャレンジャーの立場にあるからでしょうか。他のファームよりも明らかに優れたパフォーマンス、価値を提供する必要があると考えています。実際にお客様と話していると、他社以上の評価を頂いたりしますが、満足せず、常に質の向上を意識しながらコンサルティング業務に関わっています。

―今後の御社についてお聞きしたいと思いますが、何か方向性はありますか?

前川氏: 会社の方向性としてはもう少し規模を大きくしたいと考えています。売上という点でもそうですし、人員という点でも現在はまだ少ないですね。他には、国内の案件がマーケティング中心なので、これを広げていきたいですね。例えばイノベーションマネジメントなどに広げて行きたいと思っています。あるいはマーケティングやイノベーションマネジメントを行っていく上での組織の仕組み作りなどをやっていきたいですね。 。

―イノベーションマネジメントとはどのようなものですか?

前川氏: 現在の日本企業の研究開発は、作り上げた技術を活用して「儲ける」という部分が弱いと考えています。我々は、そのための仕組みつくりのお手伝いをしています。

―研究開発に携われるということは理系の学生にとって興味深いですね。

丸上氏: そうですね。そういった点では理系の学生さんにとっては魅力的だと思います。当社の特徴として「グループカンパニー」というものがあるんですが、マーケティングやイノベーションマネジメント、ファイナンスなどといった形で専門分野ごとにカンパニーがあるんです。例えばイノベーションマネジメントのプロジェクトをする時には、その分野の専門家を呼んで、ナレッジや経験をシェアすることもできるんです。

【採用・人事評価について】

―採用について伺いますが、どういう方を求められているのでしょう?

前川氏: 以前はコンサルタントをキャリアステップのひとつとして考えている方が多かったのですけど、我々としてはコンサルティングをとにかくやりたいんだ、という方に来ていただきたいです。あとは、個人的には向上心のある謙虚な方に来ていただきたいですね。自信満々な人がコンサルタントになるイメージを持たれていると思いますが、今の自分に満足せず、良くしていこうという考え方ができる人と一緒に働きたいとは思います。

丸上氏: 一緒に働きたいと思えるかどうかが、私の中で選考基準になっています。その観点から各種能力や人間性などを見ています。

前川氏: また、モニターグループは、できあがった会社ではないので、会社から与えられるのではなく、自分で作っていこうという考えの方がいいと思います。

―教育制度をお聞きしますが、どういったプログラムがあるのでしょうか?

丸上氏: まず、入社1年目の秋くらいにアジアの各オフィスにいる新卒入社、中途入社、MBA入社のすべての人を集めてオリエンテーションをします。

前川氏: その後は、1、2年目にマーケティングやファイナンスについて海外でトレーニングをします。それと、現在整備中ですが東京独自でクリティカルシンキングやスライドの作り方に関するトレーニングプログラムを年明けくらいからどんどんやっていこうと思います。

丸上氏: コンサルタントのレベルに応じて必要なトレーニングを考えていますし、また各コンサルタントが持っているケース経験をみんなでシェアする場も作る予定です。新卒の内定者には入社前に毎月ケーススタディのような宿題を与えて、コンサルタントの仕事をイメージしてもらえるようにしています。

―とはいえ、コンサルタントは「プログラム」だけではあまり育たないので、OJTが重要だと思うのですが、実際はどうなのですか?

丸上氏: モニターにはメンター制度のようなものがあって、メンターの方と「自分のこういうところが足りない」といった話しをしながら、目標を設定できるようになっています。それにより問題意識を持ってプロジェクトに取り組めるので、より早く成長できるんです。またプロジェクトの中での役割として、「一年目だから、これをやりなさい」と言われることもありません。むしろ自分で「こういうのがやりたい」と手をあげたら、上の人も「じゃあこれをやらせてみよう」と、可能な限り機会を与えてくれます。このようにOJTの効果を高める環境が結構整っていると思います。

―メンターという話がでましたが、前川さんは相談を受ける側にあると思うのですが、どういったアドバイスをされていらっしゃるのでしょう?

前川氏: 私がメンターをやっているのは、年齢的にだいたい同じくらいの中途入社の方です。基本的には皆さん独立したプロフェッショナルですが、「モニターという会社」については、私のほうが当然詳しいので、「うちはこういう会社だ」ということはお話するようにはしています。

―評価についてお聞きしたいと思いますが、どのようにやっているのでしょうか?

前川氏: メインはほとんどプロジェクトの評価です。それ以外に、採用活動に対する貢献やその他の業務への貢献を加味して、評価をしています。

―昇進や昇格については、どういった基準で評価しているのでしょうか?

前川氏: 多様な評価項目があり、プロジェクトごとにそれぞれ点数はつくようになっています。

【お2人の現在と今後の展望】

―御社でコンサルタントとして活躍した後、どういったキャリアを描く方が多いのでしょうか?

前川氏: 海外ですとMBAをとりに行く方が多いです。あとはいったん辞めてからまた戻ってくる方もいます。一つは外資系メーカーのマーケティングや企画部門に行ってからまた戻ってくるとか。あとは自分で会社を作るもいますね。

―なるほど。それでは、お二人はどのようなキャリアプランをお持ちですか?

前川氏: 個人的には40歳くらいまでずっと第一線でコンサルティングをやっていきたいですね。シニアになるとセールスが求められるので、役割が変わって来るということもあるのですが、基本的には、ずっとコンサルティングそのものをやって行きたいと思っています。

丸上氏

丸上氏: 私自身は、コンサルタントとしての最初の4〜5年、つまりある程度のプロジェクトマネジメントをするようになるまでは、基礎能力をたくわえている状態だと思っています。それ以降は、自分が強いといえる専門分野を持っていきたいと思っています。現状ではマーケティングに非常に強い興味を持っていますので、将来は事業会社のマーケティング部門で働くことにも興味がありますし、モニターのグループ会社にマーケティング専門部隊がありますので、コンサルタントとしてマーケティング専門にやることも考えています。

【コンサルタントを志望する学生へ】

―分かりました。それでは最後に学生の方にメッセージをお願いします。

前川氏: 現在はコンサルティング業界が変化しているときだと思います。これまでずっと伸びてきて、2〜3年前に一回壁にぶつかって落ち込んで、コンサルティング会社が自分たちのビジネスを見直したと思うんです。そこから、今はもう一回新しい体制を作り変えている状態だと思います。このような過渡期を体験するのは楽しいと思うので、ぜひ興味を持って来ていただきたいです。

丸上氏: 自分のキャリアを見据えて、積極的に働きたいと思う方には、弊社は向いていると思います。ぜひそのような人に来ていただきたいですね。

―大変参考になりました、本日はお忙しいところをどうもありがとうございました。