コンサルタント就職

The Bridge to Consultant

各ファームコンサルタントインタビュー

ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン編


今回は2003年1月末にジェミニコンサルティングとの合併を遂げたブーズアレンアンドハミルトンにインタビューをしました。 大きなインパクトと注目をもたらした今回の合併ですが、その合併までのいきさつと、そして新しいブーズとしての今後について、ブーズの方と元ジェミニの方にインタビューを致しました。

  ・・・・・・・・・・インタビューに答えて頂いた方・・・・・・・・・・
  岸本義之 氏(ブーズアレンアンドハミルトン ヴァイス・プレジデント)
  細田和典 氏(元ジェミニコンサルティング パートナー)

【合併のいきさつ】
【今後の展望】
【お二人の御経緯】
【今後の新卒採用について】

【合併のいきさつ】

―本日はお忙しいところをお時間頂きありがとうございます。早速ですが、今回ブーズアレンとジェミニコンサルティング合併されましたが、そのいきさつについてお聞かせ下さい。

岸本氏: 我々ブーズアレンは、東京に進出して20年になるのですが、実はブーズアレンは、現在グローバルで業績が絶好調です。というのは、ブーズアレングローバルの特徴として、政府部門の仕事というのが非常に大きいからです。中でもNASAであるとか、国防であるとか、もしくは国税、IRSといったアメリカの政府部門の受注が非常に大きいです。 一昨年以降からアメリカ、ヨーロッパが不況になって来たと言われ、民間のコンサルティング需要はそれなりに影響を受けましたが、政府部門は逆に好調です。そういう意味で他のコンサルティング会社と比べると極めて恵まれており、現在相対的に有利になっている中で、戦略分野を重点的に拡大していこうと考えてきました。 一方、日本で20年間の経験から、日本におけるコンサルティングに対するディマンドが非常に強くなってきていると感じています。例えば日産の改革に代表されるような、「新たな経営陣が大改革をする」という意味合いでのコンサルタントの使い方が増大し、欧米スタイルに近づきつつあると認識してきています。今後更に日本が再生していく中でコンサルタントの使い方がより本格的になっていくという見方です。そういう意味で日本はブーズアレンにとって最重要市場であり重点分野です。 しかし、実際に内部のみの成長では4,50人レベルまでにしかならず、このディマンドに中々追いつかないんですね。倍くらいにしたいと言っても新人を4〜50人とるというわけにはいかないですから、信頼のできるプロジェクトマネージャ、パートナークラスの人をまとめて増やさない限りは、中々倍の規模にならないという考えをずっと持っていました。

―なるほど、日本国内のコンサルティングに対する需要の拡大を見通しての合併ということでしょうか。

岸本氏: もう一つブーズアレンの特徴として、シニアスタッフの個人がそれぞれ自分の強みを持つということがあります。その強みというのが業種における強みであったり、ファンクションにおける強みであったりするわけですが、小人数でやっていると、結局皆がなんでも屋にならざるを得ないわけです。私自身も金融のプロジェクトが多かったので、金融グループという形でやってきましたが、そうは言っても、例えば大きなプロジェクトが入ってきたらパートナー数人で入らないといけない。コンピュータ会社の仕事をやったり、自動車会社の仕事をやったりする。どうしてもみんなで色んなことをやってしまうと戦力が拡散してしまうんです。それなりの人数で、それぞれが自分の強みに特化してやっていける方が、会社全体の考え方にもあっているんではないかという考えもありました。 これらを総合的に判断し、既存ファームとの統合を考えていたときに旧ジェミニの方々とお話させていただく機会があり、統合ということになりました。

―では、同じように細田さんには元ジェミニの側から今に至ったいきさつをお願いします。

細田氏: 旧ジェミニ・ジャパンは、東京オフィスの設立が99年と比較的新しい会社でしたが、その後急速に拡大しました。99年にキャップジェミニからバイアウトしたのですが、その背景には、キャップジェミニがITコンサルティングを強化する方針を打ち出したことがあり、東京オフィスとしては、国内企業の変革・再生ニーズに合わせた戦略コンサルティングをやっていきたいと考え、独立しました。その意味では、非常に独立心が強いスタッフが多く、自分達のやりたいことは自分達で決める、自分達にとって最もよい環境を探すという姿勢がありました。その後、独立会社としてそれなりに実績を残し、自分達の力に対し自信も深めました。 そうして、もう1度自分達が考えてきた、結果指向の実践的戦略コンサルティングを一段とスケールアップして取り組んで行きたい、と考え、そのために自分達がコンサルティングを続ける環境を考え直しました。そしてブーズアレンと話をし、求めるもの、考えるところが近いと感じ、今回の統合となりました。そう感じた理由は、一つはブーズアレンが日本での成長に対して真剣になっていると感じたんです。日本の市場の中でトップになりたいという熱意を非常に感じた。これは我々も同じだったのです。 次に、カルチャーの面です。2つの会社なので100%合うということはないですが、相対的に非常に似たところがあると感じました。どんな仲間と働くのが一番心地良いかということも考慮に入れて、そういう意味で非常にいい会社ということだと思って、今回一緒になるということになりました。

―似ている面が多いと仰いましたが、どんなところでしょう?

岸本氏: 私達が前から使っている言葉で、Strategy Based Transformation(SBT)があります。これは戦略だけを考えるというのではないし、変革だけをやるというのでもない。いわゆる変革、一時期流行ったBPR(Business Process Reengineering)だけををやるという訳ではなく、この両方を一貫してできる会社になりたいという意味です。もしくは、この両方を一貫してできる会社は我々だけしかいないんじゃないかと自負を持ってやっていたわけですね。 他方、日本のジェミニの方も思想としては同じ物を持っていて、戦略のブティックではないし、インプリだけをやるのでもないし、これを両方繋いで、企業の変革を助けていくという思想を、日本でやってきていました。そういった考えが両社に似たようなカルチャーを作っていて、戦略だけをやるのではなく、お客さんを大事にして戦略から実行まで、全面的にサポートしていこうというところは非常にいい意味で似ていると思います。

―なるほど、まさに相思相愛ということですね。

細田氏: そうです。二つの組織があれば、中のルールの違いはありますが、私はそれ以上の違いは特に感じていません。個性の強い人が集まっている業界ですから、その意味ではもともと同じ会社でも多様な人がいました。それ以上の差異が2社間にあったとは思えませんね。

岸本氏: コンサルティングのプロジェクト運営というのは、もともとどこの会社も似ているので、業務における違いはファームよりは、マネージャの個人的スタイルがむしろ大きい。プロジェクトチームとしてはそんなに相違は多分出てこないんですよ。チームを離れたところの運営のし方っていうのは、違いがありますが、逆にいうとその程度しかありません。

【今後の展望】

―3年後、5年後の理想の形があるかと思いますが、具体的には何か考えておられますか?

岸本氏: まぁ単純に規模が大きくなると嬉しいなというもありますが、ユニークな強みを出せればもっといいと思っています。比較的やれそうな気がしている部分が、先程政府関係の仕事と言いましたが、日本でもパブリックセクターの仕事が、今後出て来るんじゃないかと思っています。政府、公共の仕事は、これまではどちらかというと、日系のシンクタンクが主としてやってきた分野でした。我々としても人が足りないものですから、正直民間系の仕事を先に受けて、政府系の仕事は積極的には受けて来なかったという部分はあります。ただ、この部分はその世界的なノウハウから見ると、他のコンサルティングファームにはないものですから、この部分では多分第一人者になれるんじゃないかなという手応えめいたものを感じています。

―では、これまでの民間系の仕事は何か変化するのでしょうか?

岸本氏: 民間企業に対しても、技術と経営の両方を橋渡しできる会社というのが、実はあんまりないのかもしれない。それに対してブーズアレンの世界的なケイパビリティっていうのは結構あるので、これを提供できると思っています。これまでは日本側の受け皿として、戦略とオペレーションで手一杯だったということで、受動的にしか対応していなかったわけです。この点、日本側のキャパシティが大きくなれば、能動的に対応できます。戦略を決めるときに技術をどうしても同時に語っていかなければいけない場合が増えており、それに対して他の戦略系ファームと比べると技術により近いところをやっている海外のチームがいるので、それを活用できるんじゃないかなという、これも手応えめいたものを感じているんですね。

―カルチャーとしてこういう風にしていきたいというのはありますか?

岸本氏: 人を育てる会社ですかね。ブーズはグローバル統一で360°評価という人事評価をしているんですが、合併してもこのカルチャーは非常に大事だと、私は強く思っています。コンサルティングプロジェクトというのは、非常にプレッシャーの高い中で、チームを組んでやっていきますが、そうするとどうしてもマネージャが強いストレスをチームメンバーに与えるということになりやすい。そうすると、どうしてもぎすぎすした、スパルタ的なカルチャーになりやすいですね。360°評価はその人がこの1年間仕事をして来た上下左右10人以上の人から、その人の評価を聞きます。つまりこのマネージャが傍若無人に振舞うと、この人は人を育てるところに何か問題があるということが自ずと出てくるんです。そういう制度で評価していると皆分かっていますから、自然とプロジェクト中もブレーキがかかるのでこれは非常にいいやり方だと思います。もちろん評価するのに非常に手間が掛かり大変ですが、このおかげでぎすぎすしないようになり、人を育てるところに皆の目が向く、良い仕組みです。

細田氏: 我々が使う言葉でマチュリティの高いプロフェッショナルの集まりにしたい、というのがあります。今までの外資系コンサルティングファームでは、お互いがけん制し合ったり、力があることを顕示しようとしたり、インテリ特有の浅はかな見栄とエゴで過剰に攻撃的になったりする幼稚な人もいたのです。相手を完膚なまでに論破してたたきのめす、とか他人を無能呼ばわりすることに喜びや快感を感じるような人です。このエネルギーのポジティブな面は重要ですが、たいがい無駄なエネルギーですし、人間的にもどうかと思うわけです。本当に実力のある人はもっとゆったりしています。いわゆる今までの伝統的な外資系の人達の集まりから、一歩進んだ、もうちょっと自然に、肩の力を抜いて、だからといって緩んではいない会社にしたいと考えておりました。

―なるほど。今度は数字的な部分でお聞きしたいと思いますが、今回の合併で全体としてはどの程度の規模になるのでしょうか?

岸本氏: コンサルタント、つまりプロフェッショナルの数で、80名位、全体で100名程度になります。

細田氏: 規模の面で言えば、3位くらいでしょうか。規模で上位に行くというのはある意味では重要なことで、もちろんプロジェクトワークに入ればこれは関係ないのですが、社会におけるプレゼンスというのは意味のあることなんです。例えばビジネスにおける対顧客の面であったり、リクルーティングの面においてであったり、とにかく色んな意味でやり易いというのがあります。

―よくマッキンゼー、BCG、ベイン、ブーズの4大ファームという言い方をしますが、正直これまでブーズは出遅れていた感を持っていたのですが、今回の合併で、ブーズアレンの日本でのプレゼンスというのはどの程度変わるのでしょうか?

細田氏: 日本で規模は中堅でしたがそれなりに実績を残してきたジェミニが加わることになり、基本的に大きな会社でグローバル展開している戦略ファームのグローバルなインフラとスケールネットワークを持った会社が合併します。すでにファームとしての規模も大きいですが、新しい会社と言ってもよくこれからまだ成長していく。そして内部のやり方というのは、今からもう一度新しく作っていくという状況ですね。そういうところに一緒に入って作りあげていく楽しさを学生の方にも分かってもらいたいと考えています。

―とても楽しみですね。

細田氏: 実際にお互いのやってきた案件を話し合っていると、シナジーというか、これ使えるじゃんっていうのがお互いに結構あります。それぞれ限られた規模の中でやってきたので、これまでのクライアント企業との付き合いもある程度限られてきたわけですが、話しをしていると、「あ、そんな面白いネタだったらウチのあのクライアントに使えるなぁ」っていうのが結構あるわけです。そういう意味で過去の蓄積も2倍になるというのは、これまで活用し切れなかった部分がどんどん活用できるということで非常に楽しみですね。

―外部から見ていると、ブーズさんとジェミニさんは比較的、違う感じのイメージがあったんですが、なおさらそういった発見があるのかもしれないですね。

細田氏: 我々は共通点も多いと思ってますが、いずれにしても、両社の良さを、上手く、より新しいものをクリエイトしていく形で、統一していくというのが大事なところです。幸い、私を含め、皆合併に対してポジティブな状態になっていて、上手く行くんじゃないかなと感じています。

【お二人の御経緯】

―これから入る学生は1度に2つのファームのカルチャーの統合を経験できるというのは、中々できない経験ですね。ところで特に新卒で入る場合、新卒でコンサルタントになったお二人のご経歴に非常に興味のあるので、新卒学生向けにお二人の略歴をお願いします。

岸本氏: 私は、86年に東大経済を出てそれでブーズアレンに入ったんですね。その当時のブーズアレンはまだプロフェッショナルが10人いるかいないかというときだったですね。83年に出来て、85年に就職活動たわけですから、本当に小さい時期だったんですが、私はたまたまそういう小さいところが好きので、大企業に入るよりは何か面白そうなコンサルティング業界に入ろうということで就職活動をしました。マッキンゼーのサマーリサーチャーをやりましたが、既に当時のマッキンゼーは60人位だったんじゃないかなと思いますが、ここは何か大きいなと感じ、これより小さいところに行ってやろうとブーズアレンを選びました。

―最初の数年は実際にコンサルタントになられて、どうでしたか?

岸本氏: 入ってですが、小さいところの良さがあって、新人であろうが出来そうなやつには仕事が降って来るので年の割にはずいぶんいろんなことをさせてもらったなと思います。一人でフィールドインタビューにも行かされたり、割と面白かったです。24の時に、たまたま保険会社の仕事をしていて、保険代理店や競合会社の人とかにインタビューして回っていた時に、行った外資系生命保険会社の企画部長の方に、「お詳しいですね。岸本さんこの業界にいたんですか?」と言われたり。24才といったらそんなに経験できる年じゃないんですけど、そういう風に見てもらったというのは「あ、やったな」という感じでした。実はまだ2〜3ヶ月しかプロジェクトをやってない時期なんですが、業界人に見てもらったというのは嬉しかったし、その業界のことをガッと吸収して核心を突いたテーマを議論ができるのは、面白いなぁと思いましたね。

―なるほど。その後、留学に行かれていますね。

岸本氏: その当時は全く英語が出来なかったんですが、3年くらいで留学したいと思っていたんです。実際は仕事が忙しく、また準備に予想外に時間がかかり、結局5年終わったところでノースウェスタン大学のケロッグに行きました。ケロッグを出るときに、コンサルティング以外の金融なども見てみましたがあんまり面白くなさそうだなと感じて、コンサルティングに戻りました。その時はマッキンゼーに入りました。というのは、小さいオフィスでやりたいことは結構やれたけれども、当時思っていた不満として、シニアスタッフの数が少ないので、お手本が少ないなということでした。もっと他のお手本から吸収しようと、別の会社ということでマッキンゼーを選びました。実際には良いお手本も反面教師も一杯いたということで(笑)、非常にいい経験をしました。3年半勤めてマネージャになった後ぐらいに、考えるところがあって今度は慶應ビジネススクールの博士課程に入りました。思うところと言うのは、一つは日本のビジネス教育というのは、どうも決定的に遅れているなと思っていて、自分が今後もコンサルタントを続けるにしても、やっぱりどっかで体力の限界がくるだろうから、その後にビジネススクールの先生になって貢献できればと思いました。もう一つの理由は、人を育てるというところが結構難しかったというのがマッキンゼー時代の実感でした。そういったことも学ぼうと思い、一応研究者的な訓練を受けようとマッキンゼーを辞めて入りました。その後、ビジネススクールの過程が終了するころに古巣のブーズアレンから、戻って来いよと誘ってもらったので戻ってきました。

―なるほど。当時はコンサルティングなんてほとんど知られていなかったと思いますが、小さいというだけで、たまたまブーズに入ったんですか?

岸本氏: 大学が経営学科だったんですね。経済学部経営学科だったので、経営戦略のゼミにいて、経営戦略なるものに興味がありました。コンサルティング会社なるものがあるらしいと。もちろん、メーカーみたいなところでマーケティング戦略をやるという道もあると思いますが、学生からすると、どこの会社に入ってもどこに配属されるか全く分からないわけですよね。だとするとコンサルティング会社に入れば必ず経営戦略に関与できるに違いないと思ったんです。たまたまゼミの一個上の先輩にマッキンゼー入った人がいたので、実際の話を聞く機会もあった。それから大前研一さんの本が売れ始めたのが85年位で、影響受けたのもありました。

―そうですか。では、同じように細田さんのご経歴もお伺いしたいと思います。

細田氏: 私も15年前に大学院を出て直接コンサルティング会社に入りました。当時戦略ファームは今よりも数的には少なかったんですが、一応全部受けて何社かからオファーをもらったんですが、その中でCDIに行きました。いろんな人と会いましたけど、当時人材の質ではCDIがベストだと思いました。当時のCDIには澤田(現ブーズ代表)もいましたけども、この会社が強いなと思って、ここなら色々経験できるかなと思い入りました。

―実際に入ってみて、どうでしたか?

細田氏: 当時CDIは若い人にどんどん機会を与えてくれました。2年目、3年目位からマネージャー的な仕事をやって個人の成長には非常に良かった。優秀な人が集まっており、皆非常に熱心に働きました。3つ4つ、極端な方だと6つのプロジェクトに同時にアサインされている人もいて、本当に最盛期は凄かったですね。半年くらい土日も休みなしのこともありました。タクシーで帰らない日がほとんどなかった。年に2回くらい夜10時前に家に帰ったときのことが記憶に残っているぐらいです。そういうハードな3年4年を経験しました。この最初の数年間で鍛えられて今の自分があると思ってます。ところが8年、9年経っていくと、今度は徐々に成熟感というか飽和感を感じてきて、同時に飢餓感も感じました。他のコンサルティング会社の人は何を考えているのか、今の自分はコンサルティング業界のどこにいるのか、ということに目が向きました。CDIはいい会社だと思いましたが、外の世界を見たいと思い、環境を変えたいと新しい会社を探しました。それでメジャーな戦略系を当たって、幾つかオファーをもらいました。

―その中で、なぜジェミニを選んだのでしょうか?

細田氏: 当時ずっとコンサルティングをやっていて、戦略を作りその実行支援を行うとお客さんも喜んで頂き、コンサルタント自身も満足していました。お客さんに「いいアウトプットが残せ、共同作業で社員も成長しました」とか言われるとインテリの悲しさで皆単純に舞い上がって喜んでました。自分もそうでしたが。 では、それでその会社が本当に変わったのかというと、本当に会社が変わるところを経験したコンサルタントが世の中に何人いるのかと思いました。にもかかわらずコンサルタントは変革を語るわけです。企業変革とはこうであると。そこに問題意識を感じ、そう意味で本当の変革を自分なりに考え、当時の「戦略策定から実行支援」というコンサルティングの枠組自体に疑問を持ちました。実行支援ではなく変革に興味を持って、そういうコンサルティングはないかと考えてたとき、それに一番近いところがジェミニだったんです。戦略立案というのは「ニュートン力学」を解くのと同じで、頭がよければそれなりに誰にでもできるもので、比較的簡単なんです。CDIの人の持っていたBCG流の戦略思考に魅了され9年間はそれを習得しましたが、ほぼ自分なりにわかったかなという感覚でした。戦略論だけやっても他のコンサルティング会社でやっていく自信はありました。でも、企業変革を実現するのは、「ニュートン力学」で解けるレベルを超えて、もっと複雑で不確実な問題や人間心理に挑戦しなければいけない先端的な問題なんですね。そこがチャレンジだと感じました。

【今後の新卒採用について】

―今後の新卒採用について伺いたいのですが。一般によくする質問なのですが、どういった学生に来て欲しいですか?

岸本氏: これは私の個人的な思いかもしれないですが、プロアクティブな人。つまり、優秀なプロフェッショナルっていうのは言われてないことを先にやっちゃう人なんです。業界全体の注目度が上がっている中、言われたことしかやらないサラリーマン的に優秀な学生さんも多くなっていると強く感じています。もちろん面接をすると頭いいなと思う人もいっぱいいるけれど、逆にそういう意味ではあんまり差がつかないかもしれない。じゃあどこで差が付くのかというと、サラリーマン的に優秀な人と、プロフェッショナル的にプロアクティブに動ける人の違いというのが大きいと思います。

細田氏: 別の角度で言うと、就職活動についてもインターネットの発達で掲示板などで皆が同じ情報を見るでしょう。そうすると皆同じようなことを考え、面接でも同じような受け答えが多いんです。それってものすごい損してるんじゃないのかなと感じています。恐らく知らず知らず皆が同じ思考になってるんじゃないでしょうか。1000人や2000人が応募してくる中で、コンサルティング会社が採用するのはその中の10人20人です。だから「いかに他の人とは違うか」をアピールすべきなんですけど、どうも同じ考え・行動になりがちですね。そこを打ち破るような人が欲しいなと思います。

岸本氏: 就職時期がちょっと早まっているのも関係あるかなと思っています。かなり早い時期に、何だかわからないけど、一斉にスタートして皆で同じ情報源を見てるから、同じことを言ってるのかなと思います。そういう状況だからこそ自分独自の考えを持つべきなんじゃないかなと。

細田氏: 私なんかの時は、自分は本当にこの業界に入りたいのかということを真剣に考えました。ところが今の人は色んな情報がすぐ手に入るために、自分で考えることをしなくなってるのではと思えてしまいます。

―なるほど、つまり周囲の情報に左右されずに自分で考え、尚且つプロアクティブな人が欲しいというわけですね。

両氏: そうです。

―大変参考になりました、本日はお忙しいところをどうもありがとうございました。